ブルースコード
-Final Chapter-
でもまさか、その後本気で好きになってつきあっちゃうなんてねえ。背後から、黒のシビックがゆっくりと近付いてきて、香奈江の前で止まった。「なんだよ、こんなとこ急に呼び出して」開いたドアから眠たそうな顔をした如が出てきた。高校時代からちっとも変わらない。私は2kgも太ったのに。「うん、なんか…懐かしくなっちゃって」「本当な。あったな、いろいろ」二人は揃って校舎を見上げた。香奈江は思った。きっとあなたは覚えてないだろうけど、私たちはここから始まったんだよ。もう一度、二人でここに来たかった。スタートラインに立ってみたかった。どちらからともなく、二人の手は繋がれていた。彼の手の温もりは、あの頃と変わったかもしれない。これからも、変わっていくのかもしれない。それでもいい。私はずーっと、この手に触れていたい。変わった温度をすぐそばで感じていたい。今までも。これからも。'アタシ今、幸せかも'母校に向かって、心の中で呟いてみる。となりで如が頷いてくれている気がした。一瞬、真新しい看板がキラリと光った。それはまるで、幸せな二人に学校がウィンクしているみたいだった。

THE END

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